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2011年10月11日:『アイスクリームの歴史Ⅱ』

「暑さ・寒さも彼岸まで!《
彼岸が過ぎたら、朝晩すっかり冷えてきました。

さて、涼しくなってきましたが、
先月に続き今回もアイスクリーム関連を調べてみました。

古代ギリシャやローマでアイスクリームは、今のシャーベットのようなものでした。 日本でも、奈良時代には夏場「氷《を食べていました。

【古代の氷菓(ひょうか)】
古代のアイスクリームは現代のシャーベットの様な物であった事は前回お話しました。
中近東・アフリカに及ぶ大帝国を樹立したアレキサンダー大王(BC356〜323)は、山から
奴隷達に氷雪を運ばせ、果汁に糖蜜を加えた冷たい飲物を戦場で兵士たちに与えました。

氷雪の利用は、始め食品を保存する為でデザートとしての利用では有りませんでした。
その後雪や氷を冬に貯蔵し夏に食べる様になり、ローマ帝国の英雄ジュリアス・シーザー
(BC100?44)はこの氷や雪を純粋に嗜好品とした様です。
彼は若者をアペニン山脈に走らせ氷や雪を運ばせて、乳や蜜・ワインなどを混ぜ冷やして
飲んでいたと伝えられています。

暴君で吊高いローマの皇帝ネロ(37?~68)も、アルプスから奴隷に万年雪を運ばせ、バラ
やスミレの花水・果汁・蜂蜜・樹液などをブレンドして作った氷菓『ドルチェ・ビータ』を
愛飲していたと言われています。
(アイスクリーム拡大) 【アイスクリーム】
アイスクリームの発祥国はイタリアで、「シャルバート」がアラブの冷た
い飲み物(アラブ圏の砂糖を使用)で、砂糖の栽培法と共にシチリア島
に渡ったのがその始まりと言われています。
シチリアの豊富なフルーツやナッツとの出会いが、現在のイタリアン
ジェラートの始まりだそうです。

 * 写真 : アイスクリーム  *
【日本の氷室】
平安・清少紊言の「枕草子」にかき氷のことが書かれているようです。
これが「氷室」に貯蔵されていた物である。
朝廷は近畿のいくつかの場所に「氷室」を設定し、そこから夏に氷を調達していました。
この「氷室」は仁徳天皇(4世紀頃)から始まったとされる歴史の古いもので、冬に降った
雪を夏まで保たせる施設でした。

徳川将軍にも夏に氷を食べていました。
「富士山」から氷を運ばせ桶に氷を入れ、その周りを筵などの断熱材で固めました。

アレキサンダー大王の時代から雪を貯蔵していたのと違って、日本では冬場の凍った池
から氷を切り出し、山麓の日の当たらない様な場所に穴を掘り、断熱材の上に氷をのせて
保存していました。
天然氷の使用では、当時の日本は、世界一の先進国だったのです。
奈良時代には、すでに氷を売る商売・・・つまり「氷屋《さんが、ちゃんとした商売として
成り立っていました。

氷室神社:奈良市春日野町
平城京では春日山に氷室が置かれ、宮中への献氷の勅祭を行いました。
平安京への遷都の後に奈良にあった氷室を祀る形で設けられたのが氷室神社です。

【牛乳の歴史】
アイスクリームの原材料には「牛乳《は欠かせないものです。
さて、日本ではいつ頃から消費されていたのでしょうか。
記録に残っているものでは、大化の改新(645年)の頃、朝鮮半島の百済から医学を伝え
た智聡(ちそう)の子の善那(ぜんな)が孝徳天皇(644~664)に滋養強壮の薬として蘇(濃
縮牛乳)を献上されとの事です。
その後、殺生を嫌う仏教思想の広まりとともに牛乳は飲まれなくなった様です。
一般の人が飲むようになったのは明治時代以後です。

資 料 :社団法人 日本アイスクリーム協会 ・ 横浜 アイスクリーム物語 
      ウィキペディア(アイスクリーム)