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2014年11月01日:『胡麻』のお話

今年も各地で紅葉まっさかりとなりました。

今回は菓子原料に使われる「胡麻」を調べてみました。
胡麻は栄養価が高い食品ですが、
そのままを食べただけでは栄養を摂取出来ません。

「誤魔化す」語源は「胡麻」から生まれた様です。
(炒り胡麻)
【胡麻の歴史】
胡麻は、ゴマ科ゴマ属の一年草です。
アフリカ大陸に野生種のゴマ科植物が多く自生しており、胡麻の起源地はサバンナ 地帯の、スーダン東部だというのが有力だそうです。
ナイル川流域では5,000年以上前から栽培された記録があります。
古代エジプトでは、胡麻は体に良い食べ物とされ、薬用にしていたことが、医薬書に 象形文字で紹介されてそうです。

エジプトからトルコを経由し、シルクロードでインドに運ばれて来た胡麻は、中国・ そして朝鮮半島より日本に伝わりました。
日本では仏教と共に広まり、精進料理の食材として大いに利用されました。

中国で「胡麻」という漢字を書きますが、「胡」は「西方」という意味のインドの方から、 そして「麻」は、ゴマの実が「麻の実」に似ているということで西の方の実と言う事で 『胡麻』という漢字が出来上がりました。

(胡麻の花)
【胡 麻】
主に種子が食材・食用油など油製品の材料とされ、古代から世界中で利用される植物です。
草丈は約1mになり、葉腋に薄紫色の花をつけ、実の中に多数の種子を含みます。
旱魃に強く、生育後期の乾燥には大変強いのですが、 逆に多雨は生育が悪くなります。 -写真:胡麻の花-
【胡麻の生産と需要】
国内生産量は約200トン程度に留まっていて、国産胡麻は主に鹿児島県喜界島で 生産されています。
財務省貿易統計では、日本で使用される胡麻の輸入量は約17万トンと99.9%を 輸入に頼っております。

胡麻の主な生産国
2010年(平成22年)の胡麻の世界生産量は推定384万㌧であった。
生産国上位3カ国はインド・ミャンマー・中国で、生産量の50%以上を占め、 インド:73万 ミャンマー:62万 中国:61万 スーダン:33万
エチオピア:31万 ウガンダ:17万 ナイジェリア:12万 ブルキナファソ:9万
ニジェール:9万 ソマリア:7万 その他:70万 世界合計:384万㌧


胡麻の主な輸出国
 インド:34万 エチオピア:22万 ナイジェリア:14万
 スーダン:13万 タンザニア:6万
胡麻の主な輸入国
 中国:39万 日本:16万 トルコ:10万 韓国:7万 他
   - 写真左 : 胡麻の実 -
  (胡麻の実)

日本・中国・韓国・は食文化も近く「ごま油・練りごま・粒こま」などを多く消費し、 トルコは、胡麻バターの様なペーストが日常的に食べられる為消費量が多い様です。
中国は生産国でもありますが、最大の輸入国となり2006年以降日本の輸入量より 多くなり、統計からみて102万トン以上消費している様です。
資料: オイル・ワールド 年間2011

【胡麻の種類】
白ゴマ・黒ゴマ・黄ゴマ(又は金ゴマ・茶ゴマ)など、種子の外皮の色で分類されるが、 栄養価などには違いはありません。
欧米では白ゴマしか流通しておらず、アジアは全般に消費されてます。
金胡麻は主にトルコで栽培されている様です。

食材の種類
 炒り胡麻:鞘から取出し、洗って乾燥させた状態を通常炒ったものを食する
 擂り胡麻:炒り胡麻すり鉢等を使って胡麻をすり潰したもの
 ごま油 :含油率が約50%以上あるため、搾ってごま油として用いられる
 胡麻ダレ:擂り胡麻などを材料に用いた人気のあるタレ
 練りごま:胡麻を完全に粉砕し、ピーナッツバターの様に油分を含んだまま
       ままペースト状にしたもの

【胡麻の成分と効能等】
胡麻の成分は50%が油分・20%がタンパク質・残り30%がビタミン類・ミネラル・ 食物繊維が含まれ、ごまの種皮(まわりの皮)は硬い為、消化酵素が働かず、消化 出来ないのでそのまま排出されてしまいます、良く噛んで食べないと豊富な栄養素も 吸収されません。その為、「擦りごま」として食することが一番お勧めです。
①胡麻に含まれるタンパク質は100g中約20gと肉や魚並み
②体内で合成されない必須アミノ酸バランスよく含まれております
③約10%の食物繊維が含まれていて便秘予防にも効果的
食物繊維は水に溶けない「不溶性食物繊維」で腸内で水分を吸ってふくらみ、 それによって腸を刺激します
④鉄分も豊富で貧血予防に役立ちます
⑤微量でも細胞の代謝を活性化する抗酸化作用のあるセレンを含むなど、
非常に優秀な成分に恵まれています
⑥カルシウムの宝庫であるごまを、牛乳やイワシなどのタンパク質やビタミンDと 一緒に食べると吸収率が高まり骨はさらに丈夫になります

【ことばの謎】
「誤魔化す」の語源
見せかけだけで内容の伴わない事・人の目をまぎらわす事。
江戸時代の名物菓子「胡麻胴乱(ゴマドウラン)」の別名である「胡麻菓子(ゴマカシ)」の 名に由来する様です。
胡麻胴乱とは小麦粉生地にゴマを混ぜた焼菓子で、ふっくらしているのに中には 何も入っていない、このことから見せかけだけで中身が伴わない事を「ごまかし」と
言うようになった様です。
別説では、胡麻は味や香りが良いので加えることによって料理が一段とよくなる、 「ごまかす」は味の程度を良くする意味に使われていたものが「見せかけのものや 人の目をまぎらわす」などに変わっていった。

「開けゴマ」の語源
「開けゴマ」を英語にすると「Open Sesame」、「Sesame」には通行券と言うような
意味もあるそうです
Open sesameで解決の鍵・糸口というような意味になります。
アラビア語ではゴマはシムシム、これが変化して英語のsesameになったと言われています。
ゴマは実がはじけて種がとびだすので扉がガバッと開く様子をゴマに例えたのではないかと
言われているそうです。

「ごまをする」の語源
胡麻をすり鉢で擂ると、すり鉢やすりこ木など、あちこちにベタベタとくっつきます、そこで 相手にこびへつらうことを「ごまをする」というようになったと言われています。
「商人が手もみする姿」が、胡麻を擂るしぐさに似ているから」という説もある様です。

資料: ごま油の関根・ かどや・  山田精油・ RICOH Communication Club ・ 
    オイル・ワールド年間 ・  ウッキペデイア 「胡麻」


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