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2016年05月01日:『枇杷の歴史・他』

謹んで熊本地震災害のお見舞いを申し上げます。

被災地で発生から4月29日現在で余震が1,000回を超え、
震度5以上が21回・震度4が79回で、全半壊家屋が3万を 超える大きな地震となってしまいました。
まずは余震が収まり、1日でも早く復興が始まります事を
心よりお祈り申し上げます。

今回は、収穫量全国第1位の九州・長崎県でお馴染み
「枇杷」の歴史・伝来などを調査しました。

 - 写真 : 収穫前の枇杷の実 (クリック拡大) -
(枇杷の花)
枇 杷 (ビ ワ)
ビワはバラ科の常緑高木、及びその果実を指します。
バラ科の仲間は、杏・桃・りんご・梨・桜等です。
原産は中国南西部で、主な産地は亜熱帯や温帯地域です。
年平均気温15度以上、最低気温は-5度以下にならない
場所が栽培に適していると言われていて、日本では千葉県
より以北では本格的な栽培は行われていません。
但し、近年の温暖化による影響で、栽培可能地域が北に広がる可能性があります。
ちなみに、亜熱帯の果物・マンゴーが北海道で収穫され、
全国で第5位(18.5㌧)となっています。(2012年農林省)
北海道で生産されている事が驚きですが、コンピューター
制御された特殊なハウスで栽培されているようです。
収穫量第1位は沖縄県(1,227㌧)で、2位宮崎県(1,140㌧)・ 鹿児島県(375㌧)・熊本県(79㌧)と続きます。
  - 写真 : 枇杷の花 (クリック拡大) -
  (枇杷の花)

枇杷の歴史と伝来
中国地方が原産で、6世紀にはすでに栽培が行われていました。
奈良時代に仏教とともに中国から伝来され、「ビワの葉療法」は鑑真和尚(唐招提寺建立)が中国から日本へ伝えたとされています。
お寺の僧侶が寺の境内にビワの木を植えて、檀家の人々や村人に「ビワの葉療法」を行い、病人を救うようになりました。

現在日本で栽培されているのは中国からもたらされた品種で、江戸時代の中期頃
千葉県の富浦では宝暦元年(1751年)に栽培がスタートしたといわれています。
中国移民がハワイに持込んだ他、日本からイスラエルやブラジルに広まり、 トルコやレバノン・ギリシャ・イタリア南部・スペイン・フランス南・アフリカ北部などでも栽培されいますが、世界の生産量については不明です。
中国に野生樹が多くみられるにもかかわらず、学名はEriobotrya japonicaで「japonica」がついています。
植物としてのビワは1778年に日本から英国へ渡り、1812年にイタリアに入り、欧州各国でこれを「日本のカリン」と呼び、学名にjaponicaがつけられました。
(びわ)
枇杷について
家の敷地内にびわの木を植える事は、「縁起が悪い」と 敬遠されてきていました。
枇杷には薬効効果があるので、病気の人がいる家では
家庭薬として植えられていた事から、「病人がいる」と 思われる「有る意味偏見」からきているようです。
 - 写真 : 枇杷の実と木 -
枇杷の効能
ビワ療法の起源は分りませんが、古来より伝えられる教典には「大薬王樹」・ は「無憂扇」と呼ばれその薬効のすばらしさが記されています。
びわには、糖質(炭水化物-食物繊維)が多く含まれており、ミネラル分もカリウム・ マグネシウムなどの他、ビタミンA・B1・B2・C、ナイアシン、有機酸としてクエン酸、 りんご酸などが含まれ、カロチンの含有量が果物の中でも多いほうです。
びわの葉には、肺を清め・胃を和ませる・肺熱による痰咳・胃熱による嘔吐を治す 作用があるようで、葉を洗って刻み乾燥させお茶として飲む、晩秋の黒くなった葉を貼ると リンパの晴れ、筋肉痛にも効果があるようです。
びわの種には、天然のミネラルとビタミンB群中心の各種のビタミンが含まれてます。

枇杷には、糖質・脂質・タンパク質に並ぶ人間の身体に必要な5大栄養素が含まれ、 近年の成人病や慢性病さらに疲労回復・食欲増進・利尿・健胃・鎮痛・抗がん作用等に効果があるようです。

主なその他の品種
19世紀に中国商船から持込まれた種を、長崎県茂木村に蒔いて広まり西日本における 代表的な品種「茂木」と、明治12年(1879)農学者である田中芳男氏が長崎で 食べた枇杷の種を持帰り改良した品種「田中」が日本の枇杷の原点です。
茂 木名前の由来が茂木村で、主に長崎県・鹿児島県・香川県で生産さ れている品種です。果重は40~50gと小ぶりで、甘味は強め・ 酸味は控えめで枇杷の作付けが50%以上と主力の品種です。
田 中果重は60~80gとやや大きめで、甘味は強く・酸味も適度で バランスの取れた品種で、主に千葉件・愛媛県・香川県・兵庫県で生産されている。
長崎早生茂木と本田早生の交配で1976年に登録。寒さに弱い品種でハウス栽培 され、早いものは1月頃に出荷されるそうです。 糖度は高く・みずみずしく上品な味わいです。
大 房枇杷栽培が盛んな千葉県富浦町で多く生産されている品種で、大きい ものは100g前後も有ります。田中と楠の交配で1967年命名されました。 酸味が少なくほどよい甘味で果汁も豊富です。
「なつたより」長崎県2009年登録・「瑞穂」千葉県1936年登録・「涼風」1999年登録・
「土肥」静岡県問の特産白い枇杷(中国の種から誕生した)などがあります。
主な生産地
長崎県:1,470㌧(37.5%) ・千葉県:503㌧(12.8%)
鹿児島県:474㌧(12.1%) ・愛媛県:303㌧(737%)
香川県:288㌧(7.3%)   ・和歌山県:239㌧(6.1%)
大分県:181㌧(4.6%)   ・兵庫県170㌧(4.3%)
熊本県151㌧(3.9%)    ・高知県143㌧(3.6%)
 -写真 : 美味しそうな枇杷-
  (枇杷)
データーは、2014年出典:農林水産省ですが、2015年はさらに900㌧ほど減少して おり、2005年から見て作付け面積:25%・収穫量:53%・出荷量:54%減少、これは 高齢化による労力不足に伴う廃園等が影響しているようです。

枇杷の美味しい食べ方
季節(旬)の果物です、大事に冷蔵庫で保管すると甘味がどんどん減少します。
冷やし過ぎると甘味が抜けやすいので、食べる前の1~2時間前に冷やすことをおすすめします。

【関連項目】              
’08年05月01日 「みかん」の歴史 ’08年10月01日 「栗」について
’15年05月01日 「いちご」の歴史 ’15年06月01日 「みかん」歴史Ⅱ
’15年07月01日 「さくらんぼ」の歴史 ’15年08月01日 「パイナップル」
’15年10月01日 「さつま芋」の歴史 ’15年12月01日 「りんご」の歴史  
’16年04月01日 「桃」の歴史 ’16年06月01日 「メロン」の歴史
’16年11月01日 「柿の歴史・その他」 ’17年06月01日 「レモン」の歴史
’17年08月01日 「すいか」の歴史 ’17年09月01日 「梨」の歴史


資料 : ウッキペディア 枇杷 ・ 果物ナビ 枇杷 ・ 野菜果物辞典
      なんでもべすと10 ・ NPI 枇杷の秘密 ・ 農林水産省

 
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